プリキュアの映画を観てきました


今日は娘の四歳の誕生日ということで、ちびっ子に大人気のプリキュアの映画を一緒に観に行きました。
私なんてセーラームーンどころか、ダーティペアミンキーモモの世代なものですから、今のプリキュアを見ると、その頃のアニメとは隔世の感があるのですが、赤と青の主人公、変身して強くなる、よくわからない喋るペット、変身シーンは決めポーズ、何かのアイテムを使って戦う、みたいなところは外せない要素として脈々と受け継がれているんですねー。
さてこの映画なんですが、物語的にちょっとちびっ子には難しかったのではないかと思います。何せ私がこの映画を観て最初に思い出したのが、松本清張の『砂の器』。『砂の器』の和賀英良の少年時代がフブキ・・・いや、もといオリヴィエみたいな感じでして、その複雑な親子の感情にプリキュアの各々のメンバーの感情が交錯するというようなストーリー展開なわけですよ。いや、ちびっ子にはこれは厳しい。多分そこまでの感情の機微が理解できるとは思えません。
開始30分後ぐらいになると、そんな展開にちょっと飽きてきちゃったちびっ子たちがざわざわし始めて、ちょっと微妙な空気になったのですが、まあ最後は、いつものドカンドカンするやつで強引に締めまして、何とかもったという感じでしょうか。
大人の観賞に耐えうる作品を作るというのは結構なことなんですが、それ以前にこういう作品では、お子様にもわかりやすくて面白いものでないと、親としては子どもが途中で騒ぎ出さないかハラハラしてしまって、安心して観られないので、もうちょっとそのへんは配慮してほしかった気がしますねー。

「森崎書店の日々」を観てきました


一言で言うと、失恋した女性が、神保町古書店街のあたたかい本好きな人たちとの日々の生活の中で癒され、そして成長していく、という映画です。予告編を見て、あ、こういう映画なんだ、と想像されたとおりの作品に仕上がっていると思います。期待は裏切られません。
主演の菊池亜希子さんの演技がとても自然で、読書する姿は、それだけで画になるくらいの存在感があり、大変好感がもてました。しかしながら、森崎書店店主サトル役の内藤剛志さんの演技はやはり圧倒的。何という演技の上手さ。参りました。降参です。憧れます。
個人的に心に響いたシーンは、神田古本まつりが終わった後、道端に二人座り込んで「自分の居場所」について語られるシーン。ちょっと泣きそうになった。
背景に映る街並みが魅力的で、映画を見終わった後は、思わずロケ地めぐりをしたくなります。10月1日発行の神保町のフリーペーパー「おさんぽ神保町」(おさんぽ神保町WEB─フリーペーパー&神田神保町最新情報)には、ロケ地マップがついていますので、それを片手に古書店散策などよいかもしれません。映画観終わった後、私もすぐに森崎書店を観に行ってしまいました(何せ神保町シアターの一本先の路地にあって徒歩一分なのだ)。

電子書籍の正体

電子書籍の正体 (別冊宝島) (別冊宝島  ノンフィクション)

電子書籍の正体 (別冊宝島) (別冊宝島 ノンフィクション)

2010年の電子書籍ブームを冷ややかに振り返る本です。
「紙の本がなくなる?」「書店はなくなる?」「印税は70%?」「出版社はなくなる?」
そんな電子書籍幻想がいかに空想の産物で実体がないものか、一つ一つキーパーソンの話を織り交ぜながら論破していく、という本なんですが、まあ、初めからこうなることは知ってたしねぇ・・・、という感じで特に新しいことが載ってる訳ではありません。唯一、宮部みゆきさんのインタビューで、3年後に模倣犯なみの大作の発売の予定があるということは知らなかったのですが、いやそもそもそれは電子書籍の正体とは関係ないし。
でもまあ、この本に出てくるキーパーソンの皆さん(植村八潮さんとか、津田大介さん、岩崎夏海さん、宮部みゆきさん、仲俣暁生さん、米光一成さん)全員が共通して言っているのは、「今は儲からないしビジネスにならない」ということ。そんなことは最初からわかっていたことなんですが、ポイントは「今は」ってところです。ガラケーの電子コミックコンテンツを除けば、今は逆に紙の本をより多く売るための販促ツール(話題づくり的な意味で)としてしか、ビジネス上は貢献していない電子書籍ですが、何年か先、多分早くて5年、遅くて10年後ぐらいまでのスパンで考えると、ビジネス足りうるマーケットは形成されていると、私は思っています。
今やらないといけないのは、今ビジネスになっていないことを論うことではなくて、そのときのための準備をすることなんじゃないの?
それぐらいのこと、さすがに宝島社はわかってると思うんだけどなー。

神様のパズル

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のパズル (ハルキ文庫)

神様のって打ち込んだら、カルテ、と予測変換されてしまう私のPCなのでありますが、今日はパズルのほうです。続編にあたる「神様のパラドックス」の文庫判も発売されたことだし、本当にいまさらなんですが読んでみようかな、と思った次第。
これ、どんな話かと言いますと、主人公の大学生が引きこもり気味の超天才少女と一緒に、なぜか卒論のゼミで「宇宙を創る」ことになってしまう話なんですが、私の拙いあらすじ説明を読むよりも、この話は映画化されてますので、こちらのトレイラーを観て頂いたほうが百聞は一見にしかずではないかと。

と思ったんですが、いやー、この映画の予告編、全然、原作と違いますねぇ。
驚きました。まさか、あの主人公が市原隼人になるとは・・・、信じられない。原作では田植えとかをやっている冴えない草食男子が、映画ではロッカーで市原隼人ですか。ラノベからは最も程遠い人選じゃないですかこれ。
しかもなんか、恋愛映画っぽいシーンあったけど、原作では皆無なんですけど!
ヒロインの穂瑞、ツンデレっぽい性格なので、ついつい期待してしまいそうになりますけど、最後までツンのみでデレはありませんから!残念!
まあ、本作で最も面白いと思われるのは、バリバリの宇宙論そのもので、登場人物たちも全員理系で、ゼミで物理用語炸裂の議論をひたすら続けているシーンか、パソコンでカタカタプログラミングしているシーンばかりなので、映画にはしづらかったんだろうなぁ、とは思うのだけど、この映画の予告編を観て、これは観に行かなくちゃと思った原作ファンはどれぐらいいたのだろうか?と、正直疑問に思った私なのでありました。

恒川光太郎にはハズレがない

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

そろそろ秋も終わりの気配ですが、本日はいつまでたっても秋から抜け出すことができないダークファンタジー小説『秋の牢獄』のご紹介です。
11月7日水曜日。主人公の女子大生藍は、この日を境に突然、同じ一日を何度も何度も繰り返すという時間の狭間に落ちてしまいます。毎日同じことを体験しなくてはならない悪夢のような日々。しかし25回目の11月7日、彼女は自分と同じ、この異世界の記憶を共有できるリプレイヤーたちに出会います。自由きままに暮らすリプレイヤーたちですが、彼らにはタブーがあって・・・、みたいな話です。
まあ、よくあるっちゃあよくある話なんです。でも恒川光太郎さんの話が他と違って素晴らしいのは、異界にとりこまれてしまった人たちが、そこがどんなにひどい世界であっても、その異界に対して、必ず愛しさとせつなさと心強さのこもった視線を投げかけるようになるところなんですね。
それがホラーであっても救いの無いファンタジーであっても、叙情的でどこか懐かしさを感じる物語になってしまうという不思議な書き手さんなんです。大好きです。
ちなみにこの文庫には、表題作の『秋の牢獄』以外に、『神家没落』『幻は夜に成長する』の二編が入っていまして、実は『秋の牢獄』よりもそっちのほうが面白かったりします。『夜市』のときも表題作よりもサブのほうが面白かったんですよ。何でですかねー。

紺野キリフキさんの世界にはまる

はじめまして、本棚荘(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)

はじめまして、本棚荘(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)

ツクツク図書館 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

ツクツク図書館 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

MF文庫から出ているこの二作品を読んだのですが、不思議な魅力のある作品です。はまりました。来月出る小学館文庫のやつも買おうと思います。
どういったらいいのでしょうか。まず登場人物がみんな非常に個性的です。しかも人間としてダメな人たちばかりです。でもそのダメな人たちの不条理でとりとめのないエピソードを、散文のように紡いでいくと、不思議なことに言葉にできない大切な何かがゆるーく浮かび上がってくるんです。なんとも変わった読後感をもたらしてくれるファンタジー
特に本が好きという方と、ネコが好き、と言う方には、かなりのオススメですね。個人的には本棚荘のほうが、主人公含めキャラクターのダメ度が高くてお気に入りなんですが、「ツクツク図書館」のほうも黒猫のギィは最高ですね。ぜひぜひお読みになってください。

「本屋の森のあかり」ソウル編スタート!

本屋の森のあかり(8) (KC KISS)

本屋の森のあかり(8) (KC KISS)

正直な話、実はこの作品には、始まった当初は全然期待していなかったのですが、今現在、書店を舞台にしたお話の中では、最も面白くて最もリアルな書店が描かれている一番勢いのある作品になっています。素晴らしいですね。特に書店で働く人たちの人間関係やメンタル面についてここまで焦点を当てた作品は、これまでになかったんじゃないでしょうか。ものすごくリアルで新しいです。名古屋編から始まった、あかり&杜三&緑&リカの四角関係の行方も気になるところだし、発売されたばかりなのに、次の巻が待ち遠しいですね。
さて、今巻は杜三さんのソウル編スタートということで、韓国の書店事情がお勉強できるページがあるんですが、結構これが面白いんです。特に新古書店への万引き品流出対策としてハンコを押すシステムになっているというは、すごくいいですね。私も日本でもやればいいのにと思いました。

韓国には、20年前に行ったきりですので、教保文庫とかソウルの書店巡りに機会があれば行ってみたいですね。