「安政五年の大脱走」は、映画化を推奨します

安政五年の大脱走 (幻冬舎文庫)

安政五年の大脱走 (幻冬舎文庫)

体調を崩しておりましたが、ようやく動けるようになって来ました。が、無理は禁物です。周りはノロウイルスの患者だらけなんだよ、これが。
それはさておき、本日はtwitterの書店員クラスタでちょっとしたブームになっております『安政五年の大脱走』です。文庫でも平成17年の4月初版ということで、ちょっとばかり古い作品ではあるんですが、どなたかが発掘されたそうです。エンタメ時代物は大好物ですので期待して読んでみました。
ストーリーはですね、脱走モノです。スティーブ・マックイーンの「大脱走」が時代劇になったらこんな感じになると思います。大老井伊直弼の命で無実の罪を着せられ、とんでもない秘境に幽閉されてしまった南津和野藩のお姫様と51人の侍。幽閉された秘境は環境が劣悪で、このままでは生きていくことができない。脱走計画を練らなければ!という展開。しかし井伊直弼の腹心の部下である長野主膳の用心深く猜疑心の強い性格のせいで、逃げられそうな隙すら見つからないという絶体絶命のピンチに!
彦根藩の見張りの侍に計画が露見しないようにしながら、51人が各々の個性と智恵を出し合い力を合わせて脱走の準備をするというところが読みどころですが、んまー、活字作品としては、ツメが甘くて軽い気がするし、もうちょっとこの展開はなんとかならなかったのかなぁという気はします。特に鮫島の扱いがなぁ。
ま、でも私は黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」という映画が大好きなんですが、黒澤監督がこれを原作にして映画撮ったら、相当面白い作品が出来るだろうなぁと思いました。この作品、映画向きですよ。51人出てくる味方の侍をイケメン若手俳優陣で固められるし、撮影場所もほとんど1箇所で済むし、歴女の方々が熱狂的に支持してくれそうだし、売れる要素満点なんで、映画化してみませんか?と言ってみる。