トロンレガシーを観てきました


はっきり言ってしまうと、これは駄作です。今年見た作品の中で一番面白くなかった。残念です。マトリクスのほうが全然面白いと思う。
あの「トロン」が現代に蘇ったら、どんなすごい作品になるだろうかと、かなり期待してたんだけどなー、ということで、本日はなぜトロンレガシーはつまらなかったのか、を考えてみました。
皆さんのレビューを見ると、ストーリーがシンプルすぎてどうなの、というご意見が多いようなんですが、確かにそれはその通りだとは思います。伏線ゼロ意外性ゼロの省エネ展開なのは、確かにいただけなかった。まー、でもねー、昔の映画で名作と言われているものも結構ストーリーはストレートでシンプルだったりするわけですよ。なので個人的には一番この映画をつまらなくしてしまったところって、実は売りにしていた映像なんじゃないかと思っているのです。
画面がスタイリッシュでかっこいいのは、予告編を見れば分かることで、そこに異論のある人は少ないとは思うのですが、この暗くて、蛍光ラインの入ったデザイナーズ映像が延々と何十分も続くわけですよ。そんなの飽きるって。
美術デザインに力があるからそれ以外の部分がおざなりになってしまっている映画って、過去にもそう言えば見たことがあるような気がします。ジェニファー・ロペスの「ザ・セル」とかさ。衣装デザインはアカデミー賞とってたけど、だから何、みたいな。
すぐれたデザインというのはえてして余計なものをつけずに完璧にシンプルな形態になりますが、そこにはノイズが無いわけですよ。つまり細部がない。
「神は細部に宿る」という言葉が私は好きなんですが、この映画の映像にはあまりにも細部が無いものだから、神が宿ってない気がするのね。映画って絵空事ではあるものですが、感情移入できたり、ハラハラドキドキできたりするじゃないですか。でもこの映画にはそういうのが一切無い。映像が完璧すぎて、面白みが無いんですよ。全然。
「完璧ということを理解していなかった」というのは、主人公の父親が放つセリフなのですが、そっくりそのままこの映画の映像を作り上げた人に送ってあげたいと思いました。ミュージッククリップで終わっておくべきデザイン性であったように思います。