電子書籍の正体

電子書籍の正体 (別冊宝島) (別冊宝島  ノンフィクション)

電子書籍の正体 (別冊宝島) (別冊宝島 ノンフィクション)

2010年の電子書籍ブームを冷ややかに振り返る本です。
「紙の本がなくなる?」「書店はなくなる?」「印税は70%?」「出版社はなくなる?」
そんな電子書籍幻想がいかに空想の産物で実体がないものか、一つ一つキーパーソンの話を織り交ぜながら論破していく、という本なんですが、まあ、初めからこうなることは知ってたしねぇ・・・、という感じで特に新しいことが載ってる訳ではありません。唯一、宮部みゆきさんのインタビューで、3年後に模倣犯なみの大作の発売の予定があるということは知らなかったのですが、いやそもそもそれは電子書籍の正体とは関係ないし。
でもまあ、この本に出てくるキーパーソンの皆さん(植村八潮さんとか、津田大介さん、岩崎夏海さん、宮部みゆきさん、仲俣暁生さん、米光一成さん)全員が共通して言っているのは、「今は儲からないしビジネスにならない」ということ。そんなことは最初からわかっていたことなんですが、ポイントは「今は」ってところです。ガラケーの電子コミックコンテンツを除けば、今は逆に紙の本をより多く売るための販促ツール(話題づくり的な意味で)としてしか、ビジネス上は貢献していない電子書籍ですが、何年か先、多分早くて5年、遅くて10年後ぐらいまでのスパンで考えると、ビジネス足りうるマーケットは形成されていると、私は思っています。
今やらないといけないのは、今ビジネスになっていないことを論うことではなくて、そのときのための準備をすることなんじゃないの?
それぐらいのこと、さすがに宝島社はわかってると思うんだけどなー。